須金の郷愁風景

山口県徳山市【在郷町】 地図 
 
町並度 4 非俗化度 10  −錦川上流に残る小さな町並 紙生産で栄えた−


須金の町並 小規模ながら伝統的な佇まいが所々に残る 
 徳山の市街地北側には山地が迫り、峠を越えると比較的平坦な丘陵地帯となっている。この地域は岩国で海に流れ込む錦川の上流域となっている。
 錦川とその支流沿いに開けた土地の所々に集落が見え、その多くは小規模な在郷町である。その中にあってこの須金地区は小さいながらも伝統的な構えの家屋が比較的残っており、古い町並として紹介する。
 藩政期の大半を徳山藩領として経過し、藩の管理で紙の生産が盛んに行われた。その中心となった当村では元禄の頃から市が定期的に開かれており、在郷町として発展した。
 古くは須万村と呼ばれたが、南に接する金峰村と合併後須金村となる。しかし字名としては金峰・須万の名が残っており、なかなかややこしい。
 かつての須金村の中心である須万地区は錦川が大きく蛇行するその内側の平地にあり、周囲の閑散とした農村地帯に不似合いな町場が開ける。その規模は小さく歩いても10分とはかからぬほどである。しかし妻入りで虫籠窓を従えた迫力ある町家をはじめとして、伝統的な佇まいが今なお残されている。赤褐色の瓦が幾つかの旧家で見られるのが意外であり、山陰あるいは長門との関連を思わせる。
 忘れられたようにひっそりと残る意外性の町並であった。

 








  
訪問日:2011.03.27 TOP 町並INDEX