宿毛の郷愁風景

高知県宿毛市【港町・城下町】 地図
 町並度 4 非俗化度 8 −古くは城下町 その後港町として発展したが−






片島の町並


 宿毛市は県の西端、北西は愛媛県に接している。古くは城下町で、慶長6(1601)年に山内一豊の土佐入国に伴い、姉の息子であった山内可氏が宿毛城に居城した。宿毛山内氏と呼ばれ土佐西縁の守りを固め、また南伊予との国境警備を司った。
 元和元(1615)の一国一城令により宿毛城は破却されたが、以後も山内氏は宿毛領主としてこの地を治め、土佐藩の家老を勤めた。塩浜の開発に着手し、また町割りを行うなど宿毛の町の基盤を築いた。
 明治以降の宿毛は港町としての機能が突出していた。その中心が片島地区で、明治20年本土と片島が結ばれ、同24年宿毛汽船株式会社が設立、高知との定期便が就航した。それ以後海軍の軍港ともなり、一時は遊郭も置かれるなど賑わいを呈した。
 市街中心から片島地区に入ると、右側に細いかつての街路が残っているのが見える。一見して古い街区であることがわかり商店が連なっていたであろう雰囲気だが、開いている店はなかった。港周辺には二階部分に欄干が残る旅館だっただろう建物、看板建築の商店などが見られるが活気が感じられない佇まいでやや寂しさを覚える探訪であった。大分県佐伯とを結ぶカーフェリーが休航中であることでその印象が一段と強まるようだ。港の建物で確認しても、今は近隣の沖ノ島に向う小型船が細々と出ているだけであった。
 一方、市街中心地区は市役所の南付近一帯で、低平な土地に比較的整然とした佇まいを見せる。しかし商店街の界隈は濃厚な昭和が漂い、今となっては古い町並的な魅力を感じさせるものとなっていた。
 







市街中心部の昭和レトロを感じさせる商店街

訪問日:2019.08.11 TOP 町並INDEX