周防高森の郷愁風景

山口県周東町<宿場町> 地図  <岩国市>
 町並度 3 非俗化度 8 −本陣の遺構も残る山陽道の宿駅−

 
 高森は山陽道の宿場であったところで、岩国市の西側の玖珂盆地に展開する町である。幹線鉄道は柳井などの海岸部に敷かれ、その後新幹線や山陽自動車道は玖珂盆地を横断しているが、いずれも通過点にすぎず、旧山陽道の道筋は往時のまま残されている。


旧高森宿本陣の建物




 現在、国道2号線でややもすると通過してしまうだけの町であるが、岩徳線を挟んで南側に、旧山陽道の街路が走っている。この道路は2車線のゆったりした幅員が確保されているが、昭和初期までは道の中央に水路が走り柳並木が続き、風流な宿場町であったそうだ。
 宿駅は東より上市・中市と呼ばれ、島田川に差し掛かる位置まで町場が連なっていたという。
 現在、宿場町であることを偲ぶことができるのは町並の中央に立派な門構えを見せる旧本陣の遺構である。長州戦争の折に休戦協定が結ばれたところといわれ、深い歴史を刻んだ建物だ。本瓦を載せた母屋や厳かな門も立派であるが、全体的に痛みが目立つ。旧本陣がある程度でも原型を保っている例は珍しいもので、何とか保存の手を加えていただきたいものである。
 広い幅員は明治以降に一部拡幅されたもののようで、伝統的な建物の多くはそれ以後のものであろうが、その多くが妻入りの形式を保っている。この付近より西側は俄然妻入り主体となり、防長路に入ったことを強く印象付ける家並である。連続した箇所はごくわずかであり、古い町並といえるほどの密度ではないが、個性的な印象である。

 なおここから東側に玖珂方面に向けても所々伝統的な建物が散見され、平野部の穀倉地を背後に豊かな街道集落が展開していたことが想像できる。


 





訪問日:2003.03
(2011.03再取材)
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