周匝の郷愁風景

岡山県吉井町【陣屋町・在郷町】 地図  <赤磐市>
 
町並度 4 非俗化度 10  −陣屋を拠点に発達 吉井川運の拠点−










周匝の町並

 県東部の吉井川沿い、支流の吉野川との合流地点に周匝
(すさい)の町がある。
 寛永9(1632)年に藩主池田光政が備前に入る際、その家老片桐氏が陣屋を周匝に構えた。岡山藩では数万石を有する家老が各地に領地を有していて、それぞれ陣屋を構えていたため小城下町的な発達を示していたところが多く、当時は通称周匝藩と呼ばれていた。域内のすぐ北は美作国に接する国境の地で、さらに支流の合流点にあるこの地は政治・軍事上重要な位置にあった。
 大規模な陣屋屋敷も存在していたというが、領主は多くを岡山城で過ごし、年に何度か周匝に戻ってくるだけであったという。
 水運の拠点として美作国との間の周匝の渡しが存在し、美作国を横断する出雲街道から山陽筋とを結ぶ街道の要所として発達した。また吉井川は高瀬舟の往来が盛んで、河口の西大寺を経由して岡山城との物資のやり取りも盛んに行われた。水運を中心に町場が発達し、商家も多く立地した。
 それを物語るように現在古い町並が残っているのも川に沿う一帯である。国道沿いからはやや判りにくい位置にあるため町並の存在に気づかず通り過ぎてしまいがちである。しかしこの南北の道筋には取立てて豪壮な町家建築があるわけではなく、また規模も小さいものだが、密度濃い家々の並びがあった。海鼠壁や袖壁などのこの地方らしい外観も見られるが、妻入形式を取るものが幾つか見られるのが特徴的である。また、家々は街路に対して角度を持ち、雁行した家並となっている。こうした佇まいは各地で見られるが、ここでは街路との斜角がずいぶん大きいと感じた。
  

訪問日:2012.10.08 TOP 町並INDEX