珠洲飯田の郷愁風景

石川県珠洲市<在郷町・漁村> 地図 
 町並度 5 非俗化度 8 −奥能登旧珠洲郡の中心−
 




珠洲市飯田町の町並


 飯田地区は珠洲市の中心集落で市役所が置かれ、小規模ながら繁華街や商店街の形成も見られる。
 室町時代からその地名が見え、城が構えられていた時代もあったという。江戸時代になると宿駅的役割も担っていたといい、奥能登先端部の中心であったことがうかがえる。
 享保期(18世紀前半)の記録では40隻の漁船を保持し、遠洋漁業に堪えうる構造のものも4隻あったとの記録がある。また酒造家をはじめ商工業が栄え、在郷町としての賑わいもあった。こうしてさまざまな機能を携えながら、奥能登の中枢として成長を遂げていったのだろう。
 市街地は若山川を挟み東西に展開し、右岸(西側)に行政地区や繁華街がある。したがって古い町並としては商店などに挟まれて古びた木質感の高い家屋や土蔵が散見される形となる。一部に細い路地もあり、それらを巡るのも面白い。
 左岸側には街路の両側に規則的に展開する町並が見られる。妻入りの姿が目立ち、建築年代はそれほど古いものではないと思われるが連続性は感じられた。この界隈のすぐ南は海に接しているが、漁師町らしい外観ではないのが意外であった。ただ、歩いたのは早朝であり、潮の香りと海鳥の鳴き声の中での爽やかな探訪となった。









訪問日:2013.05.03 TOP 町並INDEX