白子の郷愁風景

三重県鈴鹿市【宿場町・港町】 地図 
 
町並度  6 非俗化度 7  −港に接する伊勢街道の宿駅−




 白子は鈴鹿市域の南東部、伊勢湾に面する地区である。近鉄線の駅や国道23号線沿線にもあり交通の便は良い。
 中世から港として位置づけられ、廻船を行う者も多かったという。
白子一丁目の町並 大きな道標が残っていた 




白子本町の町並

 特に発展を示しだしたのが地内を通る伊勢街道の重要性が増した江戸中期からで、その下地には伊勢宮への参宮客が急増したことがある。宿駅・白子宿が成立して旅籠が多く立地し、旅人で賑わったという。
 街道の要所が港に接することで商業活動も発達し、伊勢商人の流通拠点ともなっている。木綿や型紙などこの地域の産物は海路江戸へと運ばれ商取引された。付近のみならず大和方面の綿もここから積出されていたという。大商人が白子組などの組織を組んで多くの廻船問屋を支配し運営されていた。帰り荷は木綿等の肥料として使われる干鰯であり、これも近隣だけでなく陸路で大和そして近江方面にも運ばれていった。
 古い町並の見られるのは旧伊勢街道沿いであり、今でも海岸線から近く港の空気も漂っている。伝統的な建物は両端に袖壁を従えた商家風の町家が多く、特に北部では格子や虫籠窓を備えた本格的なものも目立つ。この付近に裕福な廻船問屋が多く居を構えていたのだろうか。途中でやや広い道路に分断されているが、そこから直角に折れる枡形を経て、平入りの伝統的な建物が多く見られる。連続性という点ではこちらの方が北部より高い。
 一角には「さんぐう道」「神戸四日市」と彫られた身の丈以上もある道標が立っている。神戸とは現在の鈴鹿の中心部である神戸城下のことである。この道標の大きさからも、街道の賑わい、そして伊勢宮への参拝客の多さが伝わってくるようであった。






白子二丁目の町並



 
江島町の町並 この付近には大柄な商家が目立つ

訪問日:2012.11.04 TOP 町並INDEX