田布施の郷愁風景

山口県田布施町【在郷 地図
 
町並度 5 非俗化度 10  −良質の町家も見られる意外性の町並−





下田布施の町並


 田布施町は県の南東部、東は柳井市に接し南は瀬戸内海に面している。町の中心は田布施川の河口からやや遡った田園地帯に開け、比較的まとまった市街地を形成している。
 旧市街は県道23号線と山陽本線の間に位置している。付近は乗用車の離合がようやくといった街路が巡り、にわかに古びた家並に変る。中でも妻入りの大柄な商家風建築が数軒眼につくのが印象的だ。通りから見える三角形の妻屋根は威厳を感じさせ、1階には出格子、2階には虫籠窓が残る。直角に幾曲がりかする辻もあり、歴史を刻んだ古い町並の空気が濃厚に漂っていた。
 田布施とそれに隣接する波野には古くから市が立った。それぞれ三筋・二筋の町並があり、日をずらして市が開かれ常時賑いをしめしていた。海岸近くにありながら周囲を山間部に囲まれた半盆地状の地形にあったので、周囲の農山村から農産物や菅笠や木綿などの加工品が集まり売り捌かれていった。東には港町柳井を控え、また南部の麻郷地区などにも廻船問屋が立地していて、外部との物資の行き来も盛んに行われていたこともこの町の発展に関与していたに違いない。
 通過点になりがちな小さな町であるが、古い町並としては意外性に満ちた展開であった。
 




下田布施の町並




波野の町並

訪問日:2010.11.21 TOP 町並INDEX