香取の郷愁風景

三重県多度町【港町・在郷町】 地図
 町並度 5 非俗化度 9 −揖斐川下流の港町−









 香取の町並


 多度町香取は揖斐川の下流部に接している。現在の町の中心からは少し東にはずれた国道の一本東の南北の通りを中心に古い町並が残っていた。周囲の風景からも伝統的な家並が残っているとは予測しづらいが、古びた家々や商店が密度濃く展開する姿は、近隣の中心としての歴史を感じさせる。
 文政7(1824)年の記録によれば船乗りが10軒余り存在し、また定期的に市が立っていたという。この市場は中世には興っていたとされており、既に町場化されていたのだろう。港としての発達は揖斐川をはじめ長良・木曽川の河口港としても位置づけられ、河口部の桑名港とを連絡していた。これにより近郷の物資集散地となり商業が発達した。商圏には美濃南部も広く含まれていたという。
 車の離合が困難なほどの狭い路地であるが、それが町並景観の見応え度を高めているともいえよう。所々に商店があるが営業されている店舗は少ない。既に乗用車利用を前提とした大型商業施設などに完全に客の流れがシフトしているようで、人通りもほとんどない。
 現在町並の東側は干拓が行われ水際からは遠ざかっている。しかし港として機能していた頃はすぐ長良川の川岸に接し、商船が頻繁に発着していたのであろう。

訪問日:2012.11.04 TOP 町並INDEX