多賀大社門前の郷愁風景

滋賀県多賀町【門前町】 地図 
 
町並度 6 非俗化度 5  −多賀大社の門前町−


多賀大社から外れた位置にも多くの伝統的な建物が残る 左は名物糸切餅を商う店


 多賀大社は古事記にも登場するほどの非常に歴史の古い寺院で、古くから皇室の崇敬を受け、また近世になると庶民の参拝客も急増した。お伊勢参らばお多賀に参れとの里謡もあって、当時は伊勢社・熊野社とならんで庶民の信仰の一大中心であった。
 当時の玄関口は中山道高宮宿であり、多賀社に参る客は宿場内にある大鳥居をくぐって参道を辿った。大正初期に近江鉄道の支線が延びてきてからは鉄道駅が表玄関となり、駅前からの約500mの参道に商店や土産物屋、旅館などが密度濃く集結した。
 近年の車社会、また参拝客自体の減少もあって門前町らしい活気が感じられるの神社周辺のごく一部に限られている。その付近では現代風な装いの土産物店、食事処等もあり賑わいを見せているが、そこから近江鉄道の駅に向かうと俄かに人通りが途切れ、冷凍保存されたような門前町のたたずまいが残っている。その一角には厳かな構えの木造多層建ての老舗旅館があり、現在も営業されている。また他に目を向けると名産糸切餅を扱う店が、伝統的な構えのまま客を受入れている。商家だったらしい町家建築も多く残り古い町並としても見応えするものを残していた。
 現在は参道を歩いて訪ねる客は少ないのだろうが、町並には濃厚に門前町の佇まいが残されている。
 
 








木造三階の旅館も現役だ



神社周辺では人通りも多く活況を呈する

訪問日:2011.05.21 TOP 町並INDEX