当麻寺門前の郷愁風景

奈良県当麻町【門前町】  地図 <葛城市>
 
町並度 5 非俗化度 5 −当麻寺を見渡す一直線の参道が印象的−




当麻寺門前の町並
 

 
 当麻
(タイマ)寺は大和盆地の南西端、二上山の麓にある由緒ある寺院で、創立は大和時代の7世紀、聖徳太子の弟であった麻呂子親王の創建という大変深い歴史を有する寺である。詳細は省略するが、敷地内には国の重文や史跡が数多くあり文化財的にも非常に重要であり、訪ねる人も多い。特に牡丹で有名で、その開花期には多数の観光客の訪れがあり、三重塔と牡丹の花との取合せがよく写真で紹介される。
 寺へは古くから特に河内方面からの参詣客が多く、それらの多くは寺の南側にある竹内峠を越えてやってきた。彼等は壷坂寺、長谷寺、高野山なども目的にする者が多く、門前は賑ったという。明治3年の竹内村明細帳の記録では「茶屋旅籠九軒」とあり、旅籠や宿屋をはじめ油屋・桶屋・銭湯もあったという。
 また産業としては他の大和盆地の村々と同じく木綿栽培が盛んで、菜種油とともに商人が少数ながら江戸期より台頭している。
 近鉄南大阪線の当麻寺駅を出て西に向うと、当麻寺まで一直線の参道が伸びている。見通しの利く開放感のある参道で、やがて少し小高い所に東大門と東塔(三重塔)が見えてくる。そして、参道の両側には徐々に古びた町家建築が散見されるようになり、寺に近づくにつれその密度が濃くなっていく。切妻で平入りの母屋と、塀に囲われた庭を持つ本格的な屋敷の形を取るものも多い。その分在郷商業町などの軒を接して連続する姿とは違い、塀越しに庭の緑も見える。 






 当麻寺本堂(左)及び東大門より見る門前の町並



 東大門付近は土産物屋をはじめ参詣する人々を受入れるための施設もあって、小規模ながら門前町らしいたたずまいを残す。しかしそれらの殆どは古くからの町家をそのまま利用したものであり、古い町並らしい体裁を保っていた。
 また門前街より南に少し外れたところから、水田を挟んで望む東塔などの姿もまた大和らしい風情ある景色である。







 
訪問日:2008.07.21 TOP 町並INDEX