鷹ヶ峰の郷愁風景

京都市北区<商業町> 地図
町並度 5 非俗化度 6 −丹波の入口に位置し商家が連なった−






鷹ヶ峰の町並


 京都の市街地は北に向って徐々に土地が高くなっている。多くの地区ではそれと感じないほど緩いものであるが、西部では比較的それが目立ち西大路通や千本通などのやや広い街路でも北部では上り坂となっている。金閣寺・千本北大路付近の北西部に一つの頂点がある。
 ここで紹介する鷹ヶ峰地区は千本北大路交差点より更に北側、市街地の縁端部となり住宅街が広がる。西には衣笠山・左大文字で知られる大文字山より続く山地が連なり、市街中心とは異なった自然の風景が背景に展開する。千本北大路付近より続く山裾の坂道に沿って展開する町で、遠方に旧市街方面を見下ろすようなところである。
 西側の一本道は二車線分の広い街路を保っていながら、両端に伝統的な家屋が残され古くから主要な道筋であったことを伺わせる。平入、中二階で虫籠窓を纏い、漆喰の塗屋造りでないそれらの建物は市街中心のものと変らない。違うとすれば土地にゆとりがある分だけ間口が広いところだろう。
 町の北端付近に光悦寺がある。本阿弥光悦は徳川家康より元和元(1615)年に寺領を与えられ、光悦は周囲に多くの職人を集めて工芸村を形成していたらしい。京の北郊に開ける芸術の発信地的な存在感を示していた。
 また鷹ヶ峰地区は京見峠を経て丹波方面への入口となっており、中世には京都七口の一つに数えられ関所も設けられていたという。その方面からの農産物や木材が集積する所ともなっていた。商家が早くから立地し今でも市街中心にも劣らぬ外観の町家が残っているのもそのためであろう。
 醤油を商う老舗、京野菜を露店に並べる地元の店なども見られ、散策には適した町並である。金閣寺からも徒歩圏内であり、観光地の雑沓とは対照的な散策を味わうことが出来るだろう。
 
 









訪問日:2009.02.01 TOP 町並INDEX