藤沢の郷愁風景

長野県高遠町<街道集落・産業町> 地図 <伊那市>
 
町並度 5 非俗化度 10 
−伊那・諏訪地方を結ぶ峠越えはかつては参勤交代にも使われた街道であった−
 

 諏訪・伊那地方の往来は、現在では中央自動車道や中央本線・飯田線の通る辰野経由が一般的で、東側の茅野から伊那市へ抜ける国道は峠越えもあり交通量は少ない。しかしこの道筋はかつて杖突街道と呼ばれ、特に城下町高遠にとって重要な道で藩主の参勤交代にも使われた。峠の南側にあたる藤沢(当時は御堂垣外と呼ばれる)には本陣が置かれていた。
 古くは藤沢荘が置かれた土地で、また山城も築かれていたという。
 
  土蔵の鏝絵 




多くの家々は土蔵を従えている

 

 茅野方面から峠を越えると徐々に坂も緩やかとなり、谷間が広がった辺りに集落が開けていた。その姿は街道沿いに家並が展開するという形ではなく、土蔵が縦列に並ぶもの、枝道に沿い母屋や土蔵が散在している風景などである。その奥には大きな屋根の寺院が鎮座していた。
 これらからは、街道集落としての特徴は余り感じられない。特に明治以降、養蚕や生糸の生産が盛んに行われたところで、こうした産業の集積によるものなのだろう。幕末の開港以降、需要の増大から山地に桑園が開かれ、家内工業として生糸製造や紡績が行われるようになったという。
 土蔵には鏝絵が施されたものもあり、探索に彩を添えてくれる。
 






 


訪問日:2021.10.10 TOP 町並INDEX