清水谷の郷愁風景

奈良県高取町【街道集落】 地図 
 町並度  5 非俗化度 10  −壺阪道沿いの街村−
 

 

 



 
 



 
清水谷の町並 


 高取町は山城・高取城麓に町家が連なり商業が栄えたところで、現在も濃厚な古い町並を残している。
 町場の発達は街道沿いであったことも大きく、大和盆地から高取城に向う土佐街道が縦断、町並の中心からは壺阪道が分岐しており、壺阪寺への参道であると同時に峠向うの吉野地区との往来も多かった。
 壺阪道を1kmほど進んだ付近に清水谷地区がある。街道の街村として室町期からその名をみることができ、『西国名所図会』には「清水井。同村高どのやと云ぶ在家の内にあり、近郷にならびなき清泉なり。土人曰く、此清水あるをもって地名を清水谷と号するとぞ」とあり、清い水の豊かな所であることがうかがえる。文化7(1810)年の文書では公事方庄屋・収納方庄屋という二人の庄屋があったとされ、これは高取藩領では他に例はなく、街道上の要所として重要な役割をもつ村であったと考えられる。
 城下町の町並からは離れており、また近くを通る国道からも落ち窪んだような場所にあるので目立ちにくいが、小規模ながらも伝統的な建物が連なり街道集落らしい町並の展開があった。壺阪寺の門前町的性格をも持っていたというから、商家も複数あったのだろう。それらしい間口の広い旧家も見られた。静かに息づくような古い町並であった。
 
 
 
   

訪問日:2020.09.20 TOP 町並INDEX