雨森の郷愁風景

滋賀県高月町<農村集落> 地図 <長浜市>
 
町並度 5 非俗化度 7 −水路の巡る湖北の美しい集落−

 



水路の巡る中に家々が連なる雨森の町並 
 
 
 高月町雨森は湖北の田園の中に寺社を取り囲むように立地している集落で、いかにも昔ながらの農村集落というのが地図を見て想像できる。
 集落中央に鎮座する天川命神社は『延喜式』神名帳の伊香郡「天川命神社」に比定する説があり、郡の総社として隆盛をきわめたといわれる。また集落の傍らには北国脇往還が通過し、街道の往来が盛んな頃には店舗が並んでいたという。
 そのような側面を持つこの雨森集落の東には、県最北端栃ノ木峠に源を発する高時川が流れる。集落内にはそこから引かれた水路が縦横に巡っているのがまず第一の特徴として挙げられる。農業用水として整備されたものというが、それが現在では水のある豊かな集落風景を演出するものとして、「湖国百景」のひとつに選定されている。
 また、江戸時代に活躍した蘭学者・雨森芳洲の生誕地でもあり、芳洲庵と名づけられた施設もある。集落風景としてはその付近が最も濃密で、水路には水車、土蔵やもと茅葺だっただろう外観の家屋が並ぶ。水路に沿っては花々も植えられており、ややもするといかにもという風景になりがちだが、それはこの集落の景観を守る取組が始まってから既に30年超となり、自然な趣が醸し出されているからだろう。取って付けたような感が全くない。
 集落内には手作りの案内地図などもあり訪問者を意識した様子は見られるが、観光地といった風情が皆無なのが好感が持てた。
 


 


 
 



 
 



 


訪問日:2021.03.29 TOP 町並INDEX