竹野の郷愁風景

兵庫県竹野町【港町地図  <豊岡市>
 町並度 5 非俗化度 8 −北前船寄港地として但馬随一の廻船業の発展を見た−



 竹野町は風光の美しい但馬海岸の一角を占め、夏は海水浴客で賑わうほか、冬場も名産松葉蟹の水揚げで訪れる客も多い。






 江戸時代は出石藩領で、竹野浜には港町として発達した。特に中期以降は北前船の寄港地として多くの商船が出入りし隆盛を極めた。最盛期には60隻ほどの但馬国域在籍の船があったが、その約半数は竹野浜の船であったという。日本海に向け細長い半島があり、西側の小半島との間に開けた入江は風待ちには最適で、半島付け根の河口付近に町場が発達した。
 回漕業に従事する者が多く、その範囲は蝦夷地から九州に及び兵庫や大坂の港とを往き来した。文化11(1814)年の記録では、6軒の船大工と63艘の廻船を有しており、出石藩の大坂への廻米輸送にも竹野浜の廻船が指定されていたという。海運は明治末期に国鉄山陰本線が開通するまで隆盛期が続いた。
 竹野川河口東側には砂浜海岸が展開しており、海水浴場となっている。家並はその内側から河口付近を取囲んだ低平部に展開しており、やや密集型の様相を示す。屋根はこの地方に多い黒瓦、板張りが主体で、醤油醸造場や所々に見られる土蔵などが古い町並的な風情を醸している。
 大正7年に大水害により砂州部分が崩壊する大被害を受けており、それ以後に復興された部分がほとんどと思われるが、木質感の高い家並はそれだけで古い町並といった印象を抱かせるものである。
 
 








 

訪問日:2017.04.09 TOP 町並INDEX