大浜の郷愁風景

熊本県玉名市【港町】 地図 
 町並度 4 非俗化度 8 −肥後米の積出港として大いに栄えた−

   

 玉名市大浜地区は菊池川の河口部、現在こそ埋立等でやや内陸部にあるがかつては有明海に面するところであった。
 古くは浜村と呼ばれ、早くから町場が形成されていたという。菊池川流域は熊本藩領内では重要な穀倉地帯であり、大坂廻米の中でも珍重されていた四蔵米の一つに数えられた肥後米の輸送路ともなっていた。上流部で生産された米は隈府(現在の菊池市)や山鹿で川運に委ねられ、この大浜から3kmほど上流の高瀬港に集積され大型船に積替えられた。高瀬には藩蔵もありにぎわったと言うが、江戸中期以降、土砂の堆積などにより港の機能が低下する事も多く、その場合は河口に位置する大浜が代替港として使われた。肥後米40万俵のうち高瀬港・大浜港からは25万俵が積出されたといわれるほど港としての賑わいがあり、時期によっては高瀬港を凌駕する賑わいを示していた事もあったのだろう。
 現在はやや内陸に位置しているうえに菊池川沿いに嵩上げされた堤防下にあって、港町らしい雰囲気は淡いものになっている。居蔵造りと呼ばれる土蔵に似た外観の伝統的な建物が散見されるのは、かつて廻船業で財力を高めた家々の名残だろう。廻米のほか菜種油、綿製品などを取扱う商人もあり、問屋街として賑わった。
 歴史を解説した案内板もあり、古い町並としての連続性は決して高くないものの、質的には高いものが残されていると言えよう。
 

訪問日:2017.06.11 TOP 町並INDEX