玉来の郷愁風景

大分県竹田市【在郷町】 地図 
 
町並度 4 非俗化度 10 −岡城下外縁の在郷町−


 

旧往還に沿い展開する玉来の町並




 竹田市玉来地区は市街より南西側に3kmほど離れており、阿蘇の外輪山に源を発する河川の開いた小盆地内にある。中世には肥後への往還沿いにあたり宿駅機能もあったようで、その歴史は古い。
 




 
 

 鎌倉期には既に町が形成されていたといわれるが、岡城の城下町として竹田市街の整備が行われると、政策により50余軒もの家屋が城下に移住している。そのため一時衰微したが、周囲の山間部から物資が集まりやすい地形的要素もあったことから江戸期以降は在郷町として発達し、再び商家が集積した。大庄屋も置かれ、また岡藩により遊郭も置かれたという。城下町の外町といった役割もあったのかもしれない。
 明治以降も人口2000余りを有するこの玉来地区が早々に町制が施行されたことも、地域の主邑であったことを示している。大正に入ると国鉄犬飼線(現豊肥本線)が建設され駅が設けられた。
 国道の旧道という形で中心街は保たれ、これがかつて肥後とを結ぶ往還路だったのだろう。伝統的な建物が散見され、それらはいずれも白漆喰を纏っている。塗屋造りの家々は古い町並の雰囲気を高めてくれ、また二階部分に矩形の窓が並んでいるのは九州らしい町家の姿だ。妻入りの建物も見掛けるが平入りが目立つのも特徴で、これは商家が密集して建ち並ぶ都市型の家並であったからかもしれない。
 やや地味ではあるが歴史の古い町であることは町並風景が証明している。

 


訪問日:2011.05.01 TOP 町並INDEX