| 岡山県倉敷市<港町> 地図 町並度 6 非俗化度 6 −備中松山藩の港町− |
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倉敷市域の南西にある玉島地区。近世初頭の玉島（当時の乙島）は、備中の港の中では笠岡港とともに西国航路筋の寄港地であった。当時は名の通り本土とは離れた瀬戸内に浮ぶ島で、高梁川の河口にもあたっていたこともあり備中国の産物は高瀬舟によりこの玉島に集結された。その後相次ぐ新田開発により、今では完全に陸封された町となっている。 |
| 玉島仲買町の町並。左は旧阿賀崎村役場の建物。 | |
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| 玉島新町のこの旧家は屋号西綿屋、廻船問屋として綿を取引されていた。 | 玉島新町の町並 |
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| 玉島仲買町の町並 | 玉島仲買町の町並 |
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| 玉島港では他藩との交易の中で、乙島の商人が営利追及の為に特権的・排他的な問屋稼ぎの形をとった。 「玉島港問屋株定書」という条例に見られるこの規約は、当初周辺の柏島村、長尾村などにこの特権を侵させることも多かったため、当地の港庄屋が松山藩に申しいれ、それを受けて藩は現地に赴き厳重に注意、諸規を設けたのである。当時の玉島港は、入港するには乙島瀬戸という細い瀬戸を通過せねばならず、この規律は事実上乙島以外の商人に船と直接取引きさせるのを厳禁させた法令であった。町内住民であっても問屋手形を持たぬ物には商取引は行わせず、日用品等も問屋を通すことがうたわれた徹底したものであった。 このような藩の保護にもより、玉島は商港として繁栄を続けて行ったが、高梁川と港を直結する水路が建設されてから一層の発展をみる。現在の船穂町より約9kmに及ぶこの水路は高瀬船も往来できたことから高瀬切通しと呼ばれ、同時に港の周囲には新田が次々と開かれた。特に1676年開作された阿賀崎新田は、延長391mの一定の町割に庄屋菊池重右衛門が強力に問屋を誘致し、現在でもその名残が見られる。 しかし玉島の栄華に満ちた時代はそれほど長くなく、18世紀に入ると港への土砂の堆積が著しくなり、大型の廻船は入ってこられなくなった。これは高梁川上流での製鉄業（砂鉄採取による土砂の切り崩し）による高梁川への土砂流入のためである。また、主要な輸出物であった繰綿の質が低下したことや、綿花の副産物である油が、幕府の油物規制により自由に取引できなくなったこと、周囲の新しい港町の台頭などが要因である。それでも明治前半頃までは細々と営業されていたようであるが、今では人通りも少ない静かな家並を見せている。町並の中心は当時の運河を挟んで、新町と阿賀崎新田であった仲買町辺りで、特に仲買町界隈では古い紙商、味噌商など各種商店が連なっていた面影が平入り・中二階の古い家並が連なる姿でよく残っていた。 周囲は近代的な住宅地であり、また新幹線の新倉敷駅からもそう遠くない。南側は工業地帯となっており、古い町が浮島のように残っている。 |
玉島仲買町の町並
※画像は2004年4月再訪問時のものです。
| 訪問日：2001.09.09 (2004．04.18再取材） |
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