玉島柏島の郷愁風景

岡山県倉敷市<港町・花街> 地図 
 町並度 5 非俗化度 8  −港を支えた遊興の地−
        
玉島柏島の町並


 玉島は備中松山城下(現高梁市)の外港であり、その中心部には今でももと廻船問屋や商家の建物が多く残り古い町並を今に伝えている。
 ここで紹介する柏島地区は中心より南外れに位置し、かつては天満町と呼ばれていた。それは大坂との交流があったことを示す地名であり、「山陽の小浪華」と称する著名人もあったという。
 またこの天満町は玉島の栄華を象徴するところでもあった。藩政期の外港としての機能なき後は繊維産業が盛んになり、備中南部の中心として倉敷とともに歩んできた。繁華なところには当然、遊興街が発達するもので、天満町はその中心として賑っていたという。
 虫籠窓や海鼠壁を持つ重厚な町家建築があり、また漆喰に穿たれた丸窓や二階部に木製の欄干がしつらえられた伝統的な家屋など、遊里を想起させるたたずまいが濃厚に残っていた。港の汀線に沿って、緩やかに街路が曲線を描きながら連なる姿も趣深く、最近では映画のロケ地としても活用されているとのことである。その価値のある町並である。
 集会所として使われたらしい「公会堂」と刻まれた洋風の建物や、北端には古びた魚市場が味のある町角風景を演出している。






虫籠窓を備えた重厚な町家建築も残る




二階部の木製欄干が特徴の旧家

 

訪問日:2010.08.31 TOP 町並INDEX