田麦俣の郷愁風景

山形県朝日村<民家群・街道集落> 地図 <鶴岡市>
 町並度 4 非俗化度 5  −多層型住宅という独特の民家が見られる集落−
 


二棟の多層民家が圧倒的な印象を受ける田麦俣集落
 




 

 山形市内から鶴岡方面に向うには今でこそ自動車専用道の山形自動車道が開通しているが、この間の地形は月山を主峰として1500m前後の山が多く聳える峻嶮なもので、自動車道もかなりの高度を稼ぎながら山間を縫っている。庄内地方の中心商業都市と城下町を結ぶ道は重要であり、古くからここに六十里越街道が開かれていた。峠の連続する道ではあったが最短経路であったので往来は多く、内陸に塩をもたらす道でもあり、また霊山であった月山や湯殿山への参拝者にも利用されていた。
 月山の西麓にあたるこの田麦俣集落はその街道上に立地し、谷あいの緩斜面に沿っている。最盛期には宿駅的な役割も帯びていたとされ、賑わっていたところと伝えられる。
 田麦俣は兜造り多層民家という独特の形式の民家建築が残ることで知られている。1・2階を住居とし、上層階は養蚕のための空間として使われていた。そのため立上がりが非常に高く、豪壮な印象を強く抱かせる。むろん、養蚕だけではなく街道を通じての収入があってのことであろう。土地が狭くまた多雪地帯であることからこのような形式の家屋が発達したといわれる。
 残念ながら典型的な形で残る建物は二軒のみである。しかしその存在感は大きく、集落の景観に大きく寄与していることから町並として紹介する。なお二軒のうちの一つ遠藤家は公開されており内部を見学することも出来る。
 




遠藤家 屋根を修復中か梯子がかけられていた


訪問日:2012.08.13 TOP 町並INDEX