谷川の郷愁風景

兵庫県山南町<街道集落> 地図  <丹波市>
 
町並度 4 非俗化度 10 −各地への街道が交わる南丹波の町−










谷川の町並


 
 福知山線谷川駅の佇まいは加古川線の接続駅とは思えない小ぶりなもので、駅前から一本道が連なり篠山川を渡りその先まで続いている。主に川向うに古いたたずまいを残している。
 藩政期は丹波国氷上郡に属し、国域の南西端を占め加古川を遡る物流、但馬・丹後道、播磨道、京大坂道などがここで合流分岐し、街道の賑わいによって発達した所だ。いわゆる交通の要の位置にあり、商店も多く当時から街村を形成していたという。『丹波志』によれば家数380とある。
 街村は篠山川の段丘上に展開する。途中一ヶ所直角に二度折れ曲る鉤曲りが残り、遠見遮断が図られた昔の道であることを示しているようであった。現在でいう1.5車線ほどの幅の街路には平入妻入り混在で、新しい建物や更地もはさむものの、比較的古い家々の比率の高い町並が残っていた。また立派な土塀を持つ旧家もあった。
 袖壁に屋号なのか、「正直堂」と漆喰で記された家屋もあった。他の建物も今でこそ営業されているものは少ないが、多くが店舗だったのだろう。
 集落の南には巨大な製紙工場があり、その姿は町並からも見える。当地での製紙会社の設立は昭和20年頃という歴史を持つものではあるが、やや不釣合いな趣であった。

 






訪問日:2021.06.27 TOP 町並INDEX