丹後竹野の郷愁風景

  京都府丹後町<漁村> 地図 <京丹後市>
 町並度 5 非俗化度 8 −整然とした町割を持つ素朴な漁村−





 丹後町竹野は丹後半島の北海岸で日本海に面し、弧状の砂浜海岸がわずかに開ける狭い平地に集落が展開している。
 竹野は「たかの」と発音し、その歴史は古く、古代の竹野郷に比定され、中世の丹後国御檀家帳には「たかのゝはま 家数卅軒斗」と記され、当時から漁村集落を形成していたことがわかっている。
(「卅」は「三十」という意味)
 江戸時代は宮津藩領、但馬出石藩領、及び幕府領であった時代が混在している。半農半漁の村で漁獲はカレイが有名であった。
 集落内の町割が整然としているのが特徴で、基本は海岸から一直線に山側に向う道で区割りされた短冊状の町割となっている。江戸末期に家屋のほとんどを焼失する大火の記録があり、その時にほぼ1から更新されたため整然としているのか、その理由ははっきりしない。
 しかし実際歩いてみると、途中で屈折したり行き止まりになっていたりと、それが実感できる箇所は意外と少ない感触だった。それよりも路地に沿い、木質感の高い民家や漆喰壁に木組を際立たせた真壁を持つ家屋など、この地区の集落らしい素朴な風情を感じることができる。
 一部には、広い敷地と厳かな主屋、複数の土蔵を持つ邸宅も見られ、地図では酒店とあるので江戸時代頃からの格式ある商家だったのだろうか。その周辺だけが町並として異質な感じだった。
 もう一つ異質なものとして、旧家を改築した料理旅館が国道に近い位置にあった。この地区で水揚げされる高級な蟹を提供するとの宣伝文句だが、宿泊料も相当なもので、この素朴な雰囲気の集落にはやや不釣合いといえるだろう。

 











訪問日:2016.11.13 TOP 町並INDEX