丹後由良の郷愁風景

京都府宮津市<港町> 地図
町並度 4 非俗化度 10 −由良川河口の町並−

  










 由良川は中流域では福知山盆地を形成するなど平地を展開させるが、河口部は両岸とも山がちの地形のままであり、河口平野がない。
 それでも左岸側には若干の平坦な土地があり、そこに古くからの由良集落がある。江戸時代は田辺藩領(紀伊ではなく丹後に存在した藩で舞鶴藩とも)で、廻船業者も定住していたという。平地が少ないため作物には恵まれず、塩田などで生計を立てていた。明治の記録では甘藷や素麺などが生産されていて福知山や宮津に出荷されれていたとされるが、地域の零細な商品移動に過ぎないものだったのだろう。
 流域に福知山をはじめとした丹波地域の町々を持つ大河の河口部としては、いささか物寂しい感じがする。それでもここは海水浴場や旅館なども建ちならび賑やかだったところらしいが、海岸部に数軒見られる宿泊施設以外は海岸の静かな田舎町といった風情である。国道178号線の1本山側に展開する道沿いに所々古い町並が残り、港町や商業町だった昔を伝えてくれる。一部には塀に囲まれた庭を持つ見応えのある商家建築もあり、あるいは廻船業で栄えた旧家なのか。洋風の建物が散見されたのも印象に残るものであった。
 由良川の河口付近を旧国鉄宮津線・京都丹後鉄道の鉄橋が横断しており、これも絵になる風景だ。



由良川河口付近に架る由良川橋梁
 
訪問日:2016.11.12 TOP 町並INDEX