田沼の郷愁風景

栃木県田沼町<門前町・在郷町> 地図  <佐野市>
 
町並度 4 非俗化度 8 −一瓶塚稲荷神社の門前町から在郷町に発展−

田沼の町並 右は一瓶塚稲荷神社










 田沼は足尾山地から流れ下る河川の扇状地上に市街地が展開している。館林・佐野方面から東武鉄道が通じている。
 中世には佐野市の居館が存在し、佐野武士団の根拠地の一つとされた。江戸期は当初幕府領であったがその後は近江彦根藩領、鹿沼藩領などとして経過している。
 街の発展で最も大きい要素は一瓶塚稲荷神社の門前町としてのもので、10世紀に遡るとされるこの神社は中世には佐野領の総鎮守として、以後江戸時代にかけても多くの参詣客を迎え、門前町が発達した。市場が定期的に開かれるとともに商業の拠点としても発達し始め、後背地に農山村を控えて平地に下ったところにあるという地形の利もあって在郷町としても賑わった。
 現在市街を歩いても予想以上に大きい町という印象である。多くが更新され現代風の佇まいとなっている中で、緑濃い一瓶塚稲荷神社の敷地が接する南北の通りには重厚な商家の建物が散見される。その数は多くなく、また改装された姿、或いは無住となっているものも眼につくが、ここで商業が栄えていた証である。
 ただ、既に古い町並として保存するほどの質量ではないのが、少々残念なところである。

訪問日:2014.05.05 TOP 町並INDEX