多良木の郷愁風景

熊本県多良木町【在郷町】 地図 
 
町並度 3 非俗化度 9 −上球磨地区の中心−




 







 多良木町は球磨盆地の東部、国道219号や旧国鉄湯前線であるくまがわ鉄道線によって交通の便は良い。
 中世以降球磨郡一帯は相良氏の支配するところとなった。しかし南北朝期、人吉の相良定頼が北朝方にくみしたのに対し、多良木の相良経頼は南朝に属したこともあり合戦・内乱が絶えなかったようである。
 江戸期は人吉藩領で経過した。江戸初期に藩の事業として農業用水が整備され、域内有数の農業地帯となり米をはじめ柿、茶、芋などさまざまな農産物の産地となり、藩に納められた。
 上球磨地区と呼ばれる盆地東部域の中心として物資が集まるところで、町場が発達した。明治になると公的機関の出張所などが多良木に置かれ、政治的にも拠点となった。
 旧市街地のメイン街路がそのまま国道219号線に踏襲されたようで、多くでは更新され古い町並としての風情は淡かった。しかし、間口の広い旅館を思わせる建物、少し引いた位置に和洋折衷型の落着いた邸宅を見せる姿など、古くからの町場が基盤であることが歩いているとわかる。また昭和型の外観の店舗が散在的に見られ、比較的現役のものが多いのも特徴といえる。今後はこのような建物が構成する町並も、古い町並に加えてよいのではと思う。
 多良木町付近は球磨焼酎の一大中心でもある。藩により守られ、良質な水と米に特に恵まれていたからだろう。
 




訪問日:2017.06.09 TOP 町並INDEX