前沢の郷愁風景

福島県舘岩村<農村集落> 地図  <南会津町>
 
町並度 7 非俗化度 3 −独特の中門造り農家が多数残る集落−




 阿賀野川水系、支流の舘岩川の河岸段丘上にある前沢集落。
近年重要伝統的建造物保存地区となった。
 段丘の平坦面に沿い家々が散在的に建つ農村集落的な形で、そのほとんどでは茅葺屋根である。また建物の構造としては中門造りといい、L字型の平面形態になっているものが多い。それらが程度よくまたまとまった軒数残り、周囲の山村景観との調和が良く取れていることなどが、保存地区選定に至った理由だろう。
前沢集落(対岸斜面からの俯瞰)




 











 中門造りはもともと雪深い土地で人と馬が共存して暮らしていけるよう工夫された家屋の構造とされ、曲屋とも呼ばれる。明治40年に大火に見舞われたが、その折に再建されたまま今に残り築100年を超えるものも存在している。「曲屋資料館」として公開されている家屋があり、内部は囲炉裏を中心とした座敷、厩と呼ばれる馬を買っていた部屋などがそのまま保存されており、山仕事に使われた道具類も展示されている。
 集落内には27軒の伝統的建造物があり、そのうち10軒が中門造りを残している。
 集落内を歩くと、茅葺の家屋の密度が高く見応えがある。漆喰の壁表面に梁を出した真壁、突き出た中門など見ていてその特徴を強く感じることが出来る。集落系としてはかなりの質感を伴っているといえよう。
 道路を挟んで反対側に集落全体を見下ろせる場所があり、そこからの俯瞰も美しい。
 なお、集落内を探訪するには料金が必要で、曲屋資料館以外は住民が生活されているので留意する必要がある。
 
 

訪問日:2015.09.20 TOP 町並INDEX