田鶴浜の郷愁風景

石川県田鶴浜町【産業町・在郷町】 地図  <七尾市>
 
町並度 5 非俗化度 10  
−奥能登に続く街道上にあって伝統産業により発展した町−




 田鶴浜の町並


 田鶴浜町は七尾市街の西に隣接し、北は波穏やかな七尾湾に面している。
 旧国鉄七尾線の田鶴浜駅から南側に古くからの町が展開し、古い町並が残っている。この町並の面白いところは街路が円弧状になっていることで、家並が視野一杯に広がる。その効果か実際の伝統的建物の残存率よりは見応え度が高く、連続性を感じさせてくれる。
 少なくとも明治以降に建てられた建物のようだが一階部分が開放的な構造となっているものがほとんどであり、商売を行われていただろうことがわかる。真壁調の袖壁をしつらえた旧家が目立ち、その外観からは越中・加賀そして越前で見られる町家建築との共通点があった。
 加賀から七尾を経て奥能登方面に向う街道沿いに位置し、馬継所が置かれた。幕末には代官所が設置されたこともあったが、この町を特徴付けるのがこの頃から盛んになった建具産業だ。田鶴浜建具と呼ばれたその起源は17世紀半ばといわれ、18世紀後半頃には庶民生活の質の向上とともに需要が増し、商品生産化されはじめた。明治に入ると七尾までの鉄道開通により関西方面その他にも売り出さるようになった。これは現在でも伝統産業として息づいているものである。
 一方海に接しながらその恩恵は余り受けなかったが、昭和初期に広島から移殖した牡蠣養殖が盛んになり、静かな海域に恵まれ能登半島随一の牡蠣の生産地ともなっている。
 
 









訪問日:2013.05.03 TOP 町並INDEX