二階堂の郷愁風景

奈良県天理市<市場町・街道集落> 地図
町並度 5 非俗化度 9 −古来の街道沿いに吉野山・高野山方面との往来が増え栄えた−










 天理市二階堂町は市域の西部、大和郡山市に接する位置にある。町名は古代、十市郡香久山(現橿原市)から移設した二階建ての堂があったことに由来するとされている。
 古くからの街道・中街道が南北を縦断しており、その東側の上ノ庄村と西側の菅田村立会いの出垣内
(垣内とは大和では集落の単位の意、飛地といった意味か)として街村を形成した。この街道が吉野山や高野山への往来で賑わうようになると、次第に町場として発達するようになった。元禄6(1663)年に初めて市が開かれ、以後各種商店が建ち並び、木賃宿、飯屋なども多く明治初年辺りまではかなり栄えたという。
 国道24号バイパスと旧道に挟まれた位置に旧中街道が道筋を残している。近鉄天理線の二階堂駅から南側ではっきりと街村の様相を示し、町並が連続している。或る町家は、角地に堂々たる二階の立上がりを持ち、うだつを思わせるコンクリート製の防火壁をさらに立上げた雄々しい姿を示していた。また他の旧家は、虫籠窓を持つ主屋に洋風の角屋が接して建てられ、その時代の遊び心といったようなものが感じられた。
 周囲は交通量も多い現代的な国道沿いの風景であり、それに伴って発達した後発的な住宅地である。この旧中街道沿いのみ突如旧態依然とした風景が展開するのは知らずに訪ねると滑稽な感を抱くかもしれない。










訪問日:2020.09.19 TOP 町並INDEX