寺泊の郷愁風景

新潟県寺泊町【港町・宿場町】 地図 <長岡市>
町並度 6 非俗化度 6 −佐渡の玄関として発展した港町−
 


 新潟県中部の海岸線はなだらかではあるが、山地や丘陵が迫る地形が多く、越後平野とを隔てている。この寺泊も平地が乏しいため家並は延々と海岸線に沿って伸びており、長い町並が展開している。
 佐渡島への高速船も発着するこの寺泊は、佐渡と深いつながりを持ちながら発展した町である。


町域南部の松沢町付近





上荒町付近 妻入りの建物が連続している

 

 江戸時代から寺泊は佐渡への旅人にとって陸路の終点であった。街道末端の宿場としても大いに賑っていた。当時は風波の影響で何日も足止めを喰らうことも多かっただろうから、連泊する客も多く娯楽なども栄えたのではなかろうか。
 港町としての発展も南側の出雲崎とならんで顕著で、18世紀半ば頃の記録によると西廻り航路や松前海運などの廻船業により裕福な商人が複数あり、廻船も11艘有していた。既に町としても600軒近い家屋があったと記録されており、漁師のみならず造り酒屋や糀屋、紺屋、桶屋など商工業も多く立地していて、港町・漁村・宿場町などの機能が一体化した一つの都市が形成されていた。
 町の中心付近には国道402号線が通り、近年水族館や海産物を扱う店舗などが出来てその付近は観光客の姿が絶えない。古い寺泊の町筋は全て国道により破壊されることなく旧道として残ったために、伝統的な家屋もよく残っている。細長い町並は3km以上にわたって連なっている。
 町並は妻入りに統一された連続性の高いもので、特に町の南側の上荒町から松沢町にかけて良い町並が残っている。町役場付近ではその密度は淡くなる一方で、一部に間口の広い商家風の町家建築も見られた。そして更に北に向いしばらくするとまた妻入りの家屋が目立ち始める。
 建物自体はそれほど古いものではないようだったが、伝統的な建て方は板貼りまたは真壁の壁面、出桁造りのものもあり、一階部分には一部で格子が施されているものもあったが、ほとんどの家ではガラス戸で、しかも大きく開放できるようになっているものが目立った。これらの建物は、かつて商店だったのか、或いは別の目的で当初からこのような広い入口が設けられていたのか、ざっと歩いただけでは良くわからない。
 
 
 




町の中心付近では間口の広い平入りの町家も見られる 磯町付近(町域北部)




松沢町〜小川町付近(町域南部)

訪問日:2007.05.04 TOP 町並INDEX