上殿の郷愁風景

広島県戸河内町<農村集落> 地図 <安芸太田町>
 
町並度 4 非俗化度 10 −緩やかな斜面上に展開する農村集落−
 



 
 



 
 



 
水田と農家・土蔵が織り成す上殿地区の集落風景 


 中国自動車道の戸河内ICの東側付近、自動車道上から北側に眼を向けると山裾に集落の広がりが見える。この上殿地区は明治前期までは上殿河内村という独立した自治体で、長田・本郷と呼ばれた中心地区を形成する。『芸藩通誌』によると農業とともに御用材木、御用板の産出があり、炭や下駄などの製造に携わる者もあった。また紙漉きが盛んに行われ、71人が従事していたという記録がある。
 遠方から見ると家並が密集しているようにも感じられるが、集落内に入ると水田の間に家々や土蔵が散らばる農村集落だ。訪ねた時は田植えを控え、張られた水に建物や石垣などが映り季節の風情を感じさせる風景が展開していた。農家とはいえ豪壮な構えの建物も目立ち、また寺も見られるなど一つのまとまった集落としての姿が感じられた。
 緩やかな斜面に展開しており、石垣により標高差が克服され水田や宅地の区割りとなっている。奥に位置する水田や家々から斜面を利用しての水の供給網が築かれており、一部は生活用水にも共通して利用されているようであった。道端に共同の洗い場があったり、庭先に鯉を飼う風景などもあり、集落風景に潤いを添えていた。
 
 

 
鏝絵のある土蔵 
   
訪問日:2024.05.11 TOP 町並INDEX