西根の郷愁風景

宇都宮市徳次郎町<農村集落> 地図
 
町並度 6 非俗化度 7 −大谷石に彩られた独特の集落風景−

 宇都宮市の北西郊外、東北道宇都宮ICから1kmほど西にあるこの集落は独特の景観を示すものとしてはわが国屈指のものと言える。一言でいえば石の町並である。






大谷石の風合いが美しい西根集落


 徳次郎町はもともと日光街道の宿場町としての歴史があるが、町並として特徴的なのは街道沿いではなく、伸びやかな田園地帯の一角にある西根とよばれる集落である。
 ここはこの地域で産出される大谷石と呼ばれる石材が建築に多用されていることで独特の町の風景となっており、土蔵のみならず一般住宅においても大谷石が用いられている。この大谷石は凝灰岩の一種で、徳次郎町からもほど近い大谷地区で生産され、柔らかく加工が容易で軽いことから建築資材として珍重されている。付近に限らず、北関東を中心に大谷石の土蔵は多く見られるが、ここほど集中している集落はないだろう。
 大谷石はそのやや黄身がかった色合いや、多孔質の表面などが独特の風合いを醸し出している。そしてまだ新しいもの、時間を経てくすんだものなどが混在していることで、さらに風景に深みを与える。
 なお、大谷石は露天掘りのほか、地下深くに大量に存在しており、長年の掘削により一部では土地が陥没するなどの事故も発生している。一方で露天掘の跡が大谷地区で公開されており、ほぼ垂直に10m以上も掘られたそのスケールには驚く。









一般家屋の壁材にも大谷石が用いられる 大谷地区にある露天掘跡


訪問日:2014.05.05 TOP 町並INDEX