砺波平野散居村の風景

富山県砺波市【農村集落】 地図
町並度 5 非俗化度 7  −扇状地に展開する代表的な散村風景−






 
 散居村の風景(庄川町の展望台より)


 農村集落では水の得やすい山地の麓に家々が固まったり、逆に川沿い、支流沿いに街道集落状に家々が点在する姿が多く見られる。一方で、平野や扇状地といった平坦地では所によって集落を形成せずに一戸ごとに分散した形になることがある。岩手県胆沢扇状地や島根県出雲平野などが知られているが、最も典型的なのがこの砺波平野で見られるものだろう。
 砺波平野は大雑把にいうと庄川の扇状地で、本来水は得にくい土地であるのに水田が広がっている。背後の山地の降水量が多いこと、特に冬場の降雪量が多いことから扇状地内でも中小河川が多く、農家は水の得やすいところにそれぞれ居を構え、その周囲を開拓して水田としたことから、散居村の形となったと云われている。
 加賀藩の治水事業により、河川群が整備されて現在の庄川に主流を安定させる一方、扇状地内の水路を整備したことにより水田地帯が拡大し、それに伴い散居村も規模を大きくしていった。
 庄川右岸の丘陵地帯にある展望台に上るとその規模がわかる。200km2強の土地に7,000戸ほどの農家が散在しているという。訪ねた時、光線状態が余りよくなかったためぼんやりした画像しか撮影できなかったが、見渡す限りといえるほどの散居村の展開が確認できた。
 一方平地から散居村を辿ると、家々がそれぞれ屋敷林に囲われている。冬場の季節風をはじめ風の強いところでもあり、家を守るほか、杉などの大木を育て建替えの時の建築材として利用することもあるという。また落葉や枝は風呂や煮炊きに用いるなど、一石二鳥以上の役割を果すものである。









訪問日:2023.07.16・17 TOP 町並INDEX