鳥沢の郷愁風景

山梨県大月市<宿場町> 地図 
 町並度 5 非俗化度 8  −2つの宿駅の合宿という珍しい旧甲州街道宿場町−











鳥沢の町並
 

 鳥沢地区は大月市域の東部、桂川の段丘上の比較的平坦な土地に家並が展開している。
 地名由来の説として面白いのが、西の猿橋、東の犬目との中間にあることから、十二支の並びにちなんで鳥沢と名付けられたというものがある。
 旧甲州街道の宿駅が設置されていたところで、上鳥沢宿・下鳥沢宿という2つの宿駅がほぼ隣接するという珍しい形の宿場町であった。合宿と呼ばれ実態はほぼ1つの町として認識されていたのだろう。宿駅運営上も、問屋業や荷の継立て等は半月ごとの交代制で行われていたという。
 それぞれ本陣1・脇本陣2を備えており、旅籠の数も合わせて25あるなど一つの宿場としてみると立派な規模だといえる。実際町の端々まで探訪すると歩き応えがある。途中部分的に家並が途切れる箇所があり、この辺りが上・下鳥沢宿の中間部だったのだろう。
 両宿場とも現在は国道20号線に沿っている。古い家並は両側に展開しており、それは宿駅時代に既に現在の街路幅が確保されていたことを示している。
 宿場町など建物が密集する町場では、間口により税の徴収額が定められている例が多く、そのため「鰻の寝床」と形容される短冊状の細長い敷地となるのだが、ここでは街道に面して堂々とした姿を見せている。税制の対象外だったのか、明治以降に町並が更新されたのか、その真相はよくわからないが、いずれにしても建物としては江戸期のものではなく現代になって建て替えられた姿のようである。
 
 
訪問日:2015.05.02 TOP 町並INDEX