池川の郷愁風景

高知県池川町<商業町> 地図  <仁淀川町>
 
町並度 4 非俗化度 10  −仁淀川水系上流域の商業・交通の要地−


 

商店の連なる池川(土居)の町並
 

 池川町は仁淀川の支流である土居川・安居川が合流するところ、わずかな平地に市街地が展開している。
 この町の古くからの産業は製紙と銅山開発であった。紙生産は江戸期に入ると盛んとなった。当初は中流部の伊野村が中心であったが、楮の多い池川一帯にも17世紀後半には生産地が拡大した。いわゆる御用紙として藩への献上品となり、その生産は土佐藩が直轄的に管理した。業者は、平紙と呼ばれる藩に納める以外の紙の販売で生計の足しとしていた。
 銅山は正徳3(1713)に安居地区に開発され、藩の重要な収入源となっていた。
 そのような産業を背景に、支流域や周辺山村からの物資が集まり在郷商業的な賑わいを示していた。
 池川町の中心集落は土居川右岸に細長く連なり、ほぼ全体が商店街といった趣であった。かつては相当な商業的賑わいがあったものと思われた。そのため古い町並らしさはやや淡いものの、古びた看板のまま営業されている小売店も多く、また中心から外れると二階部分に木製欄干を設えた家々も目立った。連続性も高く保たれており町歩き的には興味深い町並であった。支流を渡る橋のたもとには大きな旅館建築も見られ、新館旧館を従え営業中であった。
 なおこの池川から西に峠を越えると愛媛県となり、古くは高知城下から松山に抜ける最短距離の街道でもあった。土佐藩の参勤交代の予備街道とされたほか、幕末には多くの脱藩武士の利用するところとなった。
 
 

 

 

 

川沿いに新旧並ぶ旅館の建物   

訪問日:2022.09.24 TOP 町並INDEX