香北の郷愁風景

高知県香北町<商業町> 地図  <香美市>
町並度 4 非俗化度 10 −韮生郷と呼ばれる物部川中流域に発達した町−






 高知平野の東端付近を南流し太平洋に注ぎ込む物部川の中流付近に位置する香北町。中心市街の美良布・韮生野地区は左岸側の河岸段丘上に展開している。
 
香北(美良布)の町並


 かつて韮生郷と呼ばれていたこの地域は流域の広範囲を占め、韮生五十余村と呼ばれるほどであった。文政2(1819)年の記録によると、郷内全体で戸数1960、大庄屋などの支配的立場にあるものが90軒近くを占めていた。また百姓1334軒とともに商人21軒、諸職人91軒とあり、若干の商工業もあった様子がうかがえる。
 背後の山村からの物資供給に加え、茶や製紙など産業も盛んで在郷商業町的発達を示していた。茶は韮生茶と呼ばれ上茶として知られていたという。ここから高知及び港町赤岡方面への街路も通じ、流域随一の町場の発展を見た。
 流域を貫く国道195号は徳島との県境を越え阿南市へ達するが、いわゆる幹線国道ではなく印象としては山あいの小さな町といったところである。
 古い町並としては主に美良布地区に見られ、平入り切妻の伝統的な建物が散見されるほか、一部には立派な門構えの邸宅も見られた。国道の一本北側にあるこの街路はかつてのメイン道路で、家々の佇まいからは多くの商店が並んでいただろう様子がわかる。
 この通りを東に向い、韮生野地区に入った所には大川上美良布神社が思いの外立派な構えを見せていた。韮生郷の総鎮守で、参拝はしなかったが拝殿には素晴しい彫刻が施されているとの情報である。














訪問日:2022.09.25 TOP 町並INDEX