大月の郷愁風景

高知県大月町【商業町】 地図 
町並度 4 非俗化度 10  −馬市が盛んに行われ発展した町−
 大月町は県域の南西端を占め、宿毛市から南に15kmほどのところにある。太平洋に面しまた九州と対峙していることから海防上の拠点であり、また柏島などには異国船の漂着も多かった。
 一方町の中心部の弘見地区はやや内陸に位置している。町域の中央は標高70m前後の台地上の地形となっており、険しい海岸部を避けてここに陸路が開けていたようだ。
 享和元(1901)年の『西郷浦山廻見日記』によると家数100、人数550を数え、馬75の他酒屋が1軒あった。中央からは遠い地でもあり、また地形から後背地も決して広いとはいえず、零細ながら地域の中心として町場が発達したのだろう。
 大正初期からは馬の産地として知られるようになり、子馬の競り市が開かれるなど商業も盛んになった。この市は昭和20年代頃まで続いた。
 国道の東側に旧道が残り、往時の家並が残されている。入母屋形式の屋根を持つ立派な家屋が多く、連続性こそ低いものの十分古い町並といえる状態で残っていた。1階部分の造りからも、かつては店舗が軒を連ねていただろうことが想像できる。旅館の文字の見える建物も複数眼にした。
 全く探訪予定にないところでたまたま通りかかったに過ぎないが、思わぬ歴史を感じさせる家並を見つけることができた。




大月(弘見)の町並









訪問日:2019.08.11 TOP 町並INDEX