上滝の郷愁風景

富山県大山町【在郷町】 地図 <富山市>
 
町並度 4 非俗化度 8  −常願寺川とともに発展した町 霊山立山登山の中継地でもあった―
 
 

 

商家建築の見られる上滝の町並 
 

 上滝地区は富山の市街中心から南東に10kmほど、常願寺川左岸に位置し富山地方鉄道の駅が設置されている。地形的には常願寺川の形成する扇状地の要の位置にあり、周囲の山村部のいわゆる渓口集落でもあり、物資が集まりやすいこともあって古くから集落が立地していた。
 天保2(1831)年に市場願が藩に許可され、新川郡南部では唯一の在郷町として各種商業が発達した。安政6(1859)年の記録では50人近くの商人があり、大工や鍛冶、木挽などの技術を持つものも10名ほどあった。
 常願寺川の存在も大きく、上流側の林産物は一度ここに留め置かれ、また暴れ川として有名なこの川に水害が発生するたびに、復旧のため多くの労働者がここに宿を取った。人や物資にとっても要の地であった。
 また、無視できないものに立山登山路の中継地に当っていたことがあり、古くから山岳信仰の対象である立山は多くの登山者があった。常願寺川対岸には立山を御神体とした雄山神社の前社がある。また付近に温泉場ができたことによっても人や物資の往来が増し、人馬継立地となった。
 このように上滝は経済的・交通的に非常に重要な拠点となっており、明治22年に上滝町が成立、同30年に大山町となり、上新川郡の中心として発展した。
 常願寺川を県道と富山地方鉄道が相次いで橋で横断しており、その左岸下流側が古くからの市街地である。東西の一本道がかつての中心であり、商家・町家風の家並が見られる。特に呉服店の看板のある商店は塗屋造りの間口の広い建物が二棟連なり、また街路を挟んでは二階部の出桁と袖壁が印象的な旧家が向い合い、この町並を象徴する風景が見られる。
 しかし全体的には伝統的な建物が連続した個所は少なく、取壊し中で更地になりつつある箇所もありかつての一大商業地としての面影は既に淡いものになっているようだ。


 


 
 



 
   
   

訪問日:2023.07.16 TOP 町並INDEX