小杉の郷愁風景

富山県小杉町<宿場町> 地図 <射水市>
 町並度 5 非俗化度 7  −北陸道の宿駅 数多くの商家が建ち並んだ−




小杉(三ケ)の町並 左は赤壁家
 

 小杉町は高岡・富山両市のほぼ中間、南部の緩やかな丘陵地帯を北陸自動車道が横断、北に行くにつれ低平な射水平野となり、鉄道や国道はこの辺りを通り市街地を形成している。
 
町の中心は三ヶ(さんが)地区と東側の戸破(ひばり・へわり)地区で、江戸期には北陸道沿いの街道町(小杉新町)でそれぞれ西町・東町を構成していた。江戸末期には家屋450軒を数えるまでになった。
 慶長14(1608)年、加賀藩主前田利長が高岡に移ると、高岡から大門、小杉を経て東岩瀬に達する街路が北陸道として整備され、17世紀後半の寛文の頃に藩主の参勤交代時の往還路に指定されると、各所に一里塚や宿駅が整備された。小杉新町もこの頃、街道沿いの畑地に100軒分の屋敷地を整え形作られた。本陣や高札場が整備され、旅籠が立地し伝馬も20頭配備された。延宝2(1674)からは2・5・8の九斎市が開かれ、商業的にも発達した。
 小杉駅から北に100mも進むと旧北陸道に突当り、町並としては1.5kmほどにわたり連なっている。古い建物の連続性は高くないものの、印象的な建物が幾つか見られる。その筆頭は町並西部にある赤壁家だろう。1790年に酒・醤油の醸造業を創業した名家で、真壁の二階正面・袖壁の見られるこの地方らしい主屋と、瓦葺きの厳かな門、塀を従えている。この町は街道筋の北側に寺院や郡奉行所を配置した通りのある二筋構造で、北側の路地を覗くと西土寺など現在も幾つか寺が見られる。また少し東側には、文政7年創業の料亭・中村楼が建物は更新されながらも営々と味を引き継いで営業されている。
 




小杉駅前に向う町並 
 川を渡り戸破地区に入ると、洋風の装いの旧小杉郵便局、主屋と内蔵の佇まいが特徴的な森永酒店、さらに東にも伝統的な構えの商店が散見された。次第に街路が狭まるが、宿駅部分からは外れるも街道集落は連なり、商いをする家も多かったようだ。

 
  小杉(戸破)の町並 森永酒店と旧小杉郵便局 




小杉(戸破)の町並


訪問日:2023.07.15 TOP 町並INDEX