有楽町・東田町の郷愁風景
ここでは豊橋市内にある二つのもと遊興地の町並を紹介する。市街地の西側、豊橋鉄道の小池駅北方に展開する有楽町は、かつて小池遊郭とも呼ばれ、戦後は赤線として賑わいを見せていたという。 駅からしばらく歩くと、他の住宅地とは異なる雰囲気の通りが西に伸びている。現代風の住宅に混じって大柄な古い建物が所々に建っているという印象だが、これらはもと遊郭の建物で、或るものは唐破風を玄関先に構え、また他のものは、二階軒下に球状の灯りが並び、玄関先に屋号が小さく示されていた。他とは異なる雰囲気の町並はこの通りに限定されており、道幅も広いことから田園地帯などを新地として造成した街区なのかもしれない。 |
|
有楽町の町並 | |
豊橋駅から反対側、今度は路面電車で「競輪場前」という停留所で下車し、南に歩いていくと程なく公園が現れ、そこから先が東田園と呼ばれた遊興地区である。本来はその西側に吾妻遊郭と呼ばれる広大なエリアがあったというが、戦時中に軍用地となり今は形跡を留めていない。 現在は公園を取り込み長方形に巡る街路に沿って見られ、一般の住宅に転用されたものもあるようだが、中には現在も旅館の看板があり、二階の木製欄干に屋号が彫られているものもあった。 両町ともネットの記事を元に訪ねたものの、参照した写真の状態からは随分古い家屋が少なくなっている印象であった。この手の建物は保存対象となることもなく、都市部の住宅地や商業地の一角になっていることも多いことから再開発などでいつの間にか失われていることが多い。今後も残影は淡くなっていく一方だろう。現時点の記録として押えておきたい。 |
|
|
|
東田町の町並 木製欄干に屋号が彫られている(右下) |
訪問日:2022.04.09 | TOP | 町並INDEX |
---|