燕の郷愁風景

新潟県燕市【産業町】 地図 
 
町並度 4 非俗化度 8  −金属産業の一大中心として発達−
 




燕の町並 川沿いから一筋内陸側の秋葉町・中町・穀町にかけて古い町並が展開する


 
燕市と聞くと金属を中心とした地場産業、工業都市としてのイメージが一般に湧くことだろう。新幹線の駅も設置されていることもあり町の規模の割に知名度のある町といえよう。
 町の古くからの中心は信濃川の分流・中ノ口川の左岸で、ここは17世紀後半の延宝年間から町場が形成されていた記録があり、その姿は間口が狭く奥行の深い都市型の町割であったこともわかっている。東隣の三条とともに市場町として、三条で2・7の付く日に市が開かれていたのに対応し、3・8の付く日に開催され、近隣の村々から多くの客が押し寄せた。
 近現代の金属工業の基盤は江戸期にはその兆候が見られ、まず盛んになったのは和釘生産であった。江戸初期からすでに野鍛冶が行われていたが、需要の増加に伴い生産量が増加し、三条の問屋を通して販路は全国に拡大した。また銅器、煙管なども特産品とされた。
 明治以降は洋食器を中心に、軍需も得て金属加工品の一大中心地として大きく発達している。
 中ノ口川沿いの県道から一本入った街路が往時からの町の中心と思われる。現在は商店街となっており、しかも日中は片車線が買い物客用に駐車場スペースとして開放されており、町並探訪としては余り良い環境とはいえなかった。しかし周辺の地区とは異なる古い市街地であるという風情は濃く、妻入りの商店建築が連続する風景も保たれていた。中でも国道289号線より西側の秋葉町付近では原形を比較的保っているといえるだろう。
 横路地や裏路地にも所々に土蔵や寺院などが見られる町並が残っており、町歩きに彩りを添えてくれる。
 









訪問日:2017.04.29 TOP 町並INDEX