津軽中里の郷愁風景

青森県中里町【商業町】 地図 <中泊町>
 
町並度 3 非俗化度 10 −林業で栄えた北津軽の町−
 


 
所々に妻入りの商家風建築の見られる中里の町並


 五能線の五所川原から津軽半島の内陸部を縦貫する形で走る津軽鉄道。冬季は旧型客車にストーブが焚かれ、それを目的に観光客も多く訪れる。津軽中里はその終点に当たるところだが、斜陽館などのある金木とは一転して、津軽の北辺の零細な町といった印象である。
 この付近の村々は岩木川流域の低湿地帯と、半島東部の山地との間の台地に沿い発達した。多くが江戸時代に入り新田開発により整備されたもので、この中里もそのひとつである。五所川原方面からこの台地辺縁部に沿い、下之切通という街道も整備されていた。ここからさらに北に向うと十三湖に面した薄市、さらに十三湖北岸から小泊に達していた。物資の輸送は主に岩木川の水運が担っており、沿道も零細な村々がほとんどであったことから、街道というにはその往来は多くは無かったものと考えられる。
 産業としてはヒバやブナなどの良質な木材を産し、一時森林鉄道も敷設されるほど基幹産業となった。平地では米、大豆などが主体で、それらの林農業を基盤に発達した。
 近代的な駅舎の津軽中里駅前を出外れると南北の通りにさしかかる。これが旧下之切通なのだろう。駅前付近から北側1kmほどに市街地が連なる。零細な街道とはいえ街村的に町が形成されたのだろう。所々に妻入りの商家風建築が散見される程度で、古い町並というには建物の伝統的な感じが物足りないが、看板建築、タクシーの営業所の出で立ちなど、昭和の町並といった趣であった。


 







訪問日:2017.01.01 TOP 町並INDEX