月夜野の郷愁風景

群馬県月夜野町【在郷町地図 <みなかみ町>
町並度 5 非俗化度 8 −利根川右岸の在郷商業町−









月夜野の町並
 利根川右岸、関東平野が尽き周囲に山岳違いが迫る辺りに展開する月夜野地区。利根川を挟んだ上越線後閑駅が最寄駅となる。もとは小川郷と呼ばれ、土豪小川氏の本拠地であり、近くに居城・小川城があった。
 城なきあとは在郷商業町として発達したようで、特に酒造が盛んであった。町内の酒造家は協同して酒造米の仕入や酒造具などの整備を行い、利害・請掛りも折半により負担し、互いに利益を得た。また街道沿いからは離れていたものの、三国街道の宿場町であった須川宿に対して平日の人馬の数1ヵ年分のうち三分を他数ヶ村と共に嘉永4(1851)年から10年間請負った。
 利根川対岸の後閑村との間は増水時以外は徒歩で渡渉可能であったが、架橋されていた時期もあったという。沼田藩の藩船が置かれ、水位により渡し運賃が定められていたという。
 明治10年頃の記録では、繭134石、豆130石などとあり、繭は高崎・前橋・富岡に移出され、豆や煙草は渋川に出荷されていたという。また酒造3、商1との記録もある。
 町並は二車線道路の両側に連なり当時からこの幅の街路が確保されていたものと考えられる。商家や土蔵が見られ、一部は連続性の高い箇所も残されていた。全く意識された色は感じられないものの、これらは在郷商業町時代の賑わいを伝えるものとして貴重な姿といえるだろう。 

訪問日:2018.06.09 TOP 町並INDEX