上麓の郷愁風景

熊本県上村<武家町> 地図 <あさぎり町>
 
町並度 5 非俗化度 8  −人吉城の支城・上村城に通じる麓集落−








 球磨盆地の南部、上村は球磨川の支流・免田川沿いにのどかな田園が開けている。
 南側は宮崎県に接する山地となり、その一角には中世に人吉城の支城として上村城(麓城とも)が設けられていた。相良氏が球磨に入る以前は上村氏の支配する地であり、永禄10(1567)年に氏が没落して以後は犬童氏が統治した。
 この上村城に至っていたかつての登城路が幾つか残っている。馬場と呼ばれるもので、乗馬や馬術を鍛錬した場所というのがもともとの意味だが、武家の住まう集落としても発達していった。
 その中で麓馬場と呼ばれる通りは現在でも登城路としての面影を残している。屋敷の地割が良く残され、当時からの石垣も状態良く残り、道路脇の用水路は現在でも生活水として使われているという。建物は多くは残っていないものの石造の蔵などが見られ、また訪ねた時地元の方が生垣を手入れされていたり雑草を除去している姿を眼にした。この集落景観が保たれているのは住民の認識の高さあってのことだろう。
 西に平行する天神馬場とともに、ほとんど知られていないが風情ある散策路といったところだ。







訪問日:2017.06.09 TOP 町並INDEX