羽後長野の郷愁風景

秋田県中仙町【在郷町・城下町 地図  <大仙市>
 
町並度 5 非俗化度 7  −塀に囲われた邸宅群が街村的に連なる−





長野の町並


 この長野地区は慶長期に羽後一帯を支配していた佐竹家の一門・北家が紫嶋城主として入部し、その城下町として整備したことに端を発する。七つの町を立て、定期的に市を開催し町場として発展した。しかし程なく北家は角館に移封され、城下町としての長野の歴史はわずかな期間であった。
 町はほぼ一直線に連なる街村的な展開を示しているが、風景的には街道集落とは異なり黒板壁に囲われ、一部には厳かな門を持つものもある。町の中心にある造り酒屋がシンボル的存在で、広い内庭を従えている。付近には清い用水の流れがあり水草が生い茂り、敷地内にも取り入れられているのが印象的であった。
 城下町なきあとは羽州街道と角館を結ぶ街道上の町にあって商業が栄え、また雄物川の支流・玉川の港もあり物資往来が盛んだったことにより、以後は在郷町としての歴史が刻まれていったようだ。一方郡方の役所として御役屋が江戸中期より置かれており、役人が常駐していた。一角には御役屋の門が移築保存されている。そのように政治的な中枢的役割も残り続けていたことから、現在見るような各種混合した外観の町並風景が残っているのかもしれない。
 周囲は広大な田園地帯が展開している中でのこの町並の展開は際立つものであり、特に西部では屋敷地に巨木が亭々と聳え、角館を想起させるような風景であった。
 











訪問日:2012.08.14 TOP 町並INDEX