氏家の郷愁風景

栃木県氏家町<宿場町・商業町> 地図 <さくら市>
 
町並度 3 非俗化度 9 −奥州街道の宿駅に鬼怒川水運の結節点としての賑わいが加わり栄えた-

旧奥州街道沿いの町並


 氏家町は宇都宮市街地から北に10km余り、東北本線の駅で言えば三駅目で鬼怒川左岸に展開する。
 陸路では奥州街道の宿駅として、また陸送と水運との結節点として非常に重要な位置にあった町で、東北本線が延伸されるまでが町の隆盛期であったといえよう。
 宇都宮から北上した奥州街道は鬼怒川を渡った直後に氏家宿に至っていた。天保14(1843)の記録では本陣及び脇本陣各1、旅籠屋35軒を有し問屋場も存在していた。ここから会津中街道が分岐し、また日光北街道へも通じていたことから交通の要衝として賑わった。またさらに繁栄ならしめたものが鬼怒川の河岸だろう。阿久津河岸と呼ばれここが遡上の最上流部となっていたことから陸運から水運の結節点となった。江戸初期の寛永期には奥州大名の廻米が始まり、馬による輸送からここで舟運に委ねられ江戸に運ばれた。また南奥州や野州北部の各種商品作物の集散地となり、河岸周辺には会津蔵・白河蔵などと呼ばれる土蔵が建ちならんだという。
 旧街道は現在の上町交差点で東に折れ、東進し次の喜連川宿に向う。町並に宿場町らしい色は見られず、一部に商家風の建物が見られるほか、看板建築や昭和的な店舗建築が散見される程度である。東西の脇道に入ると、表通りの主屋が撤去された跡か土蔵が眼につき、またそれが連なる風景も見られた。それらにより歴史のある町であることが幾分か伝わってくる。






旧奥州街道沿いの町並




脇道に見られる商店や蔵が連なる風景

訪問日:2019.04.28 TOP 町並INDEX