鰻温泉の郷愁風景

鹿児島県指宿市<温泉町・農村集落> 地図 
 
町並度 3 非俗化度 8 −火口湖のほとりに湧く素朴な温泉地−

火口湖である鰻池のほとりに小さな温泉集落がある

 

 薩摩半島の南端近くには池田湖という湖があり、謎の不明生物で話題となったり大ウナギが生息していることで知られている。一方、そこから山一つ隔てた位置にある鰻池は知名度が低く、地元以外の方はほとんど訪ねることがない。
 周囲を山で囲まれたほぼ円形の湖で、北東岸付近にわずかな平地があり集落がある。鰻温泉と呼ばれる温泉地となっている。
 18世紀ころには既に温泉場として開けていたと言われ、明治には西郷隆盛の逗留により有名だったという。
 温泉街というような雰囲気は全くなく、表向きは普通の鄙びた集落だ。しかし歩いているとあちこちから蒸気が出ているのに気づく。それは路地に沿った少し開けた場所であったり、民家の裏手であったり、または塀の内側、家の玄関口のすぐそばだったりする。そして吹出し口で調理ができるようになっており、この集落の風物詩的光景となっている。
 素朴ということばが最も似合う集落で、1軒ある共同浴場の周囲で歓談する地元住民、時折訪ねる外来客がある程度である。蒸気はかすかに硫黄臭を帯びており温泉の雰囲気を高めてくれるが、佇まいは全くそのような出で立ちではないために歩いていて不思議な感触である。
 古い町並というのとは若干異なるが、その特異性から掲載する。








集落内のあちこちから蒸気が吹き上げており調理等に使われる


訪問日:2014.01.04 TOP 町並INDEX