宇津戸の郷愁風景

広島県甲山町<宿場町> 地図 <世羅町>
 町並度 4 非俗化度 10  −石見銀山街道の宿場町−

 宇津戸(うづと)は石見大森銀山からの街道の宿駅であったところだ。当時はここからさらに南下し御調を経て尾道の港へ運ばれていた。

 宇津戸の町並





 一本道に沿い細長く伸びる街道集落の形が今でも崩されず保たれています。 大柄な商家の連続する家並






黒漆喰に塗込められた旧家 町並

 

 町筋は中央部で直角に折れ、その位置に観音寺がある。江戸期の街道はここで吉舎などを経て石見地方に向う石州街道と、天領であった上下を経由し庄原・西城を経由し出雲に向う道への追分であった。寺の門前には道標が残っている。
 この宿駅にも銀や中国山地の砂鉄を運ぶ馬や、太田荘(現在の甲山町中心部)の年貢米を紀州高野山に納めるための往来が絶えず、ここで一時の休息を取っていたのであろう。国道から外れ静まり返ったこの旧街道は今でも「市筋」と呼ばれ、当時より商店が多く栄えていたことを示しているようだ。
 この古い宇津戸の町は観音寺を要としてそれぞれ5分も歩くと途切れてしまうほどである。しかし大店を思わせる総2階建の町家建築が連続している姿などからは、古い歴史が刻み込まれている事に気付く。
 町の中央にある旧宇津戸郵便局も近代洋風建築であり、近年まで交通・地域経済の中心であったことを示していた。
 


訪問日:2003.10.13 TOP 町並INDEX