若狭和田の郷愁風景

福井県高浜町<旅館街> 地図
 
町並度 5 非俗化度 5 
−若狭湾屈指の海水浴場 古くから海浜の別荘地として開かれた−






和田の町並 右は漆喰塀に囲われた旅館
 

 高浜町和田は独特の町並を展開させる町といえよう。旅館、特に海水浴をする客のために設けられた宿泊施設が家並の主役となっている。
 折しも訪問したのは旧盆期間中でもあり、海水浴客の乗用車が続々海岸の駐車場に集っていた。今では日帰り客がほとんどであろうが、かつては宿泊する客も多かったらしい。レジャーが現在ほど多様化していない頃は、客数も多かったに違いない。若狭和田海水浴場は若狭湾の中でも屈指の海水浴場であり、その発端は大正時代にさかのぼる。別荘地・避暑地として京阪神の富裕層が眼をつけ、独特の町並が展開していたのだろう。この頃海水浴は療養や心身鍛錬といった目的が込められており、今のようにレジャー性は低かった。
 江戸期には小規模な陣屋も置かれ、漁村としての発展はなかったようだが広い砂浜を利用して製塩が盛んに行われており、製塩業を行う者が260人あったという記録もある。小浜との間に航路も開かれていた。明治以降においても拠点港が設けられていた。
 しかし今見る町並は旅館街としての姿である。海岸に平行に小高い砂丘状の土地が連なり、その上に家々が並ぶ。構えも伝統的な外観が目立ち、中には漆喰に塗り回された塀に長屋門風の入口を設けたものもある。旅館ではない建物も厳かさを感じる。海沿いに位置するが漁家らしい家屋はほとんど見ることができず、むしろ農家的な構えを持つ家が多く見られた。他ではなかなか見られない独特の町並風景といえる。
 







訪問日:2009.08.15 TOP 町並INDEX