田野の郷愁風景

和歌山市田野 【漁村】 地図
町並度 5 非俗化度 9 −紀伊水道に面する斜面上漁村集落−



 和歌山市街地の南を限るような形で山がちな小半島が紀伊水道に向ってせり出しており、付け根付近には景勝地和歌浦の穏やかな風景が展開する一方、半島南岸は山地が急峻な崖をなしており、幾つかの漁村集落がある。そのうち最大の規模を持つ雑賀崎から小さな岬を隔てた位置にこの田野集落がある。










 
 
 
古くは田野浦と呼ばれ、雑賀崎浦の枝郷とされていたが、明治11年に独立し田野村となった。
 港近くに若干の平地があるが、多くは擂鉢状の斜面に路地と家屋が密集している。その上部にバスの通る道路が通り、集落を見下ろす形となる。
 集落内の様子は雑賀崎と共通する部分が多いが、雑賀崎で散見される商家を思わせる大型の町家風建築は見られない。路地も一層狭いようだ。
 この付近には崖上の風光明媚な場所に観光ホテルが点在しており、バスなどの通行できる新しい道路も崖の中腹を巻いている。一方で古くからの漁村集落は港から発達しており、道路から俯瞰することはできても、港への袋小路状の細道があるだけで大型車両の乗り入れは困難である。そのことも市街地に近いながら密集型漁村集落が保たれている要因なのだろう。ただ空家が眼につき集落全体に今ひとつ活気が感じられないのが気になった。


訪問日:2015.12.29 TOP 町並INDEX