畑の郷愁風景

兵庫県養父町<農村集落> 地図 <養父市>
町並度 5 非俗化度 9 −様々な形の三階建養蚕民家の見られる集落−





三階建養蚕家屋の多く見られる畑集落の風景


 
養父町畑地区は円山川や町の中心から南に外れ、支流大屋川に流れ込む小河川の谷間にある。
 古くからの農村集落で、江戸初期から幕府の奨励したという四木(桑・漆・楮・茶)が多く栽培されていたとの記録がある。
 産業としては畑紙として知られた紙生産があり、大正末期頃まで盛んに紙漉きが行われていたという。明治には養蚕が盛んになり、明治7年の記録では繭620貫(約2.4t)を生産したとある。
 集落を構成する家々は谷間の狭い範囲に固まっており、三階建てのものも多く見られる。中でも流れに近い位置にある土壁そのものの建物は非常に迫力を感じさせた。屋根を建物の躯体より少し浮き上がらせた土蔵のような構造を持っている。また他のものは立派な入り母屋の黒屋根を持ち、蔵と接続した非常に特徴的な姿を残していた。
 小さな集落ながら、南但馬地方らしい三階建養蚕農家しかも特色のあるつくりが見られることから貴重なものと言える。
 




 入母屋屋根を持ち土蔵と接続する三階建養蚕家屋


 


 


 
 土壁を露にした土蔵を思わせる養蚕家屋

訪問日:2021.06.27 TOP 町並INDEX